高齢者在宅医療についての研究発表をおこないます。
平成29年10月8日(日)ポスター発表P-10-431
平成29年10月9日(祝)口頭発表O-39-1
高齢者の在宅医療への服薬支援や服薬支援機器開発等について、全国の多くの薬剤師の先生方と議論を深める
有意義な2日間にしたいと思います。会場でお会いしましょう!
~Abstract~
【演題名】1
在宅療養高齢者の服薬困難の実態及び係るコストの算出と薬剤師が貢献できる服薬困難者への
服薬支援の可能性の検討(第一報)
【目的】
薬剤師が提供している高齢者への服薬支援は、一包化調剤、粉砕調剤等、何十年来革新のないままである。
この現状の調査分析を行い、新たな選択肢となり得る薬学的かつ医療経済学的解決策の立案を目的とする。
【方法】
(1)、矢野調剤薬局に来店する在宅療養高齢者の「服薬困難」の実態調査と、当薬局薬剤師が「服薬困難」を
発見する割合と対応方法の調査と、それに係る薬剤師の業務コストの解析をおこなう。
(2)、介護施設(株式会社ベストライフ神奈川県下32施設と町田市3施設)に入所する居宅療養高齢者のうち
服薬困難」の実態調査と、服薬介護の内容と介護者のコストの解析をおこなう。
(3)、(1)(2)の解決の為に、粉砕調剤の代替となり得る可能性のある簡易懸濁法を経口投与に拡大応用する
方法を検討する。
(4)、「服薬困難」の服薬支援に係る社会的コストを削減し得る、服薬支援機器等を開発することを
最終目的とする研究をおこなう。
【結果】
(1)、在宅療養高齢者の服薬困難のうち、嚥下困難の訴えは約7%だった。薬剤師の服薬困難の 発見割合は
約0.1%、対処方法は全て一包化調剤であり、薬剤師の作業時間は些少で、コスト算出に至らなかった。
(2)、居宅療養高齢者の服薬困難は服薬管理、服薬支援、情報管理と多岐に渡り、介護者の服薬介護も
服薬全般に渡っていた。介護者の服薬介護に係る時間は有効回答者132名の1日平均は88.2分だった。
(3)、(2)の調査で、介護者の簡易懸濁法の認知度は3割にとどまり、導入する際には教育というコストが
係る恐れがあるとわかった。
(4)、(1)(2)(3)の解決のための服薬支援装置を発案し、特許出願をおこなった。
【考察】
・在宅療養高齢者の服薬困難を嚥下困難だけを調査しているので、服薬管理等の服薬困難の追試が必要である。
・薬剤師は在宅療養高齢者の嚥下困難者を十分発見出来ていない。即ち、救済も出来ていない。
・薬剤師が提案する、服薬困難を解消するための一包化調剤や粉砕調剤等が、患者の手間やコストを増やし、
望まれていない可能性がある。
・介護者の服薬介護に莫大なコストがかかっており、この現実を薬剤師は直視すべきであり、これの解消のために、
薬剤師の職能を十分発揮すべきである。
・服薬介護に係る社会的コストを削減する、人的資源に依存しない用具や機器等の開発・普及が急がれる。
【キーワード】
服薬介護 服薬支援 医療経済
【演題名】2
Research and development of a robot to change the world’s medicine care.
~薬剤師の手による服薬支援ロボットの研究開発。薬剤師が服薬介護に貢献する為に~
【目的】
先に我々が研究をおこなった「服薬介護」に関する研究において、他の介護項目と比較した場合でも
「服薬介護」には、莫大な介護者負担や社会的コストが費やされている現状が明らかになった。
高齢化が進む中、今までと同様の「服薬介護」を継続した場合には、この負担は増大する一方で、
あらゆる意味での破綻をきたす。そこで、この「服薬介護の破綻」を回避すべく、
我々薬剤師に何が出来るのかを考えた時、服薬介護を薬剤師の手によって開発された服薬支援ロボットで
代行出来れば、患者の自立した生活に寄与し、介護者負担も軽減出来るという考えに至り、この研究開発をおこなった。
【方法】
1:従来の服薬介護の問題点A.-E.を解決する服薬支援ロボットを考案する。
A. 従来の服薬カレンダーや服薬箱充填での薬剤師の手間。
B. 充填ミスや被介護者の誤服用の可能性。
C. 服薬が正常に行われたかの確認。
D. 分包品が切りにくく落薬もしやすい点。
E. 従来の嚥下補助剤の混合等の大変な手間。
2:研究保護のために特許申請をおこなう。
3:試作品検討の為、大田区産業振興協会や都立産業技術研究センター等に技術相談する。
【結果】
1:従来の問題点を解決する服薬支援ロボットを考案した。
A. 一連の分包品をワンタッチでセット出来る。
B. 服薬時に自動で服用時点の薬を排出する。
C. お知らせや見守り機能により服用時点が守れ、外部チャット、AI会話等のコミュニケーション機能を付け、
患者が薬の飲み忘れや取り違い、過剰服用をした場合の即時の対応が出来る。
D. 分包品を自動で開封し、飲み口を落薬しにくい形状に加工する。
E. 嚥下補助ゼリーと服用薬との混合や、簡易懸濁を自動でおこなう。
2:求める機能すべてを盛り込むと、技術的に難易度が高すぎる為、まずは機能をそぎ落とした試作機の作成を
提案される。
3:すべてが新しい開発の為、単一機能試作機においても、初期費用2-300万必要。
4:特許 ①特願2017-49181 ②特願2017-49178 ③特願2017-49179
【考察】
・服薬介護を画期的に楽にする機器の開発に、薬剤師の視点を入れる事で、介護業務はもとより、
薬局業務の負担軽減の観点を入れることが出来る。
・新たな服薬支援ロボットを開発する事は、多くの患者と介護者を救うことになり、最終的には薬局も救われる。
・服薬支援ロボットの開発には莫大な資金が必要で、賛同する多くの仲間を集める必要がある。
【キーワード】
服薬支援機器開発 服薬介護 医療経済 介護者負担軽減